医療基本法 の法制化をめざす
患者の権利法をつくる会

わたしたちは、患者の権利を定めた法律の制定をめざし
その集大成として患者の権利保障を中心に据えた
「医療基本法」の法制化をめざしています

    与えられる医療から   
  参加する医療へ
 

 これが、わたしたち患者・市民が求める 
 患者の権利擁護を中心とした 
「医療基本法/フォーラム版

関係機関に提案と要望書を提出しました。
医療基本法 要綱案

医療基本法フォーラム版  2021.7.13公表
表記案の共同提案団体は83団体2023.09.26 時点)
引き続きこの要綱案に賛同される団体を募っています。

<「医療基本法フォーラム版」とは、当会を含めた多くの団体が共同提案団体となって法制化を要請している法律要綱案>

〜わたしたち患者の権利法をつくる会は、ほかの多くの団体と共に「医療基本法」に求める共通の要望をまとめ、その実現をめざしています〜

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医療基本法要綱案フォーラム版(略称)つくられたいきさつとその目的〗

 2009年4月に、厚生労働省の諮問機関「ハンセン病問題の検証会議の提言に基づく再発防止検討会」が、患者の権利擁護を中心とする医療の基本法制定の必要性を提言して以来、この問題は、毎年のハンセン病問題対策協議会で繰り返し取り上げられています。  2018(平成28)年度の協議会においては、患者の声協議会、患者の権利法をつくる会、東大医療政策実践コミュニティー医療基本法政策チームにハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会及び全国ハンセン病療養所入所者協議会の計5団体による「医療基本法共同骨子」に重要な論点が整理されていることが確認され、2019令和元)年度の協議会でも、厚労省が重要な視点として方向性を共有していること、その制定に向けて必要な協力と調整を行っていくことが確認されました。

 一方、2019年2月には、医療基本法制定に向けた超党派の議員連盟が結成され、5回にわたり、延べ10の患者団体・市民団体からのヒアリングが実施されました。しかし2020年からの新型コロナ問題の影響もあってか、当初予測されたよりも議論の進捗が遅れているようで、いまだに具体的な法律案が公表されるに至っていません

 そこでわたしたちは、上記ヒアリングで意見を陳べた団体を中心に議論を重ね、前記5団体共同骨子を具体化するものとして、下記のような医療基本法要綱案フォーラム版を策定いたしました。医療基本法制定に向けての議論を加速するため、これを別紙提案団体(仮称「医療基本法フォーラム」)の要綱案として、厚生労働省、医療基本法制定に向けた議員連盟、衆参両院厚生労働委員、各政党に対して提案するとともに、メディアなどを通じて社会に公表しました。

 厚労省においては、患者の権利擁護を中心とする医療基本法の制定が医療政策による人権侵害の再発防止策であることを踏まえ、その制定に向けた医療基本法制定に向けた議員連盟との協議、あるいは内閣への法案提出に向けた閣議請議を含め、適切な対応をとっていただくよう要請します。 

       賛同団体拡大運動中!  賛同団体募集中!

★このフォーラム版「医療基本法要綱案」に賛同され、共同提案団体に加わって下さる団体を広く募っています。

  現在、83団体が共同提案団体になっています。

共同提案に関するお問合せは、患者の権利法をつくる会  info@kenriho.orgまで。➢「共同提案団体」申込方法↓

  • 医療基本法要綱案

    (医療基本法フォーラム版)

                               2021年7月13

    前文

    この法律はハンセン病問題、薬害、優生保護法に基づく強制不妊・強制堕胎手術及び非合法下における強制不妊・強制堕胎手術、医療事故、医療従事者の過労死など負の歴史を反省し、医療を受ける者の権利保障を理念とし、医療制度にかかわる関係者の信頼関係を土台にした医療制度を構築するために、関係者の意見を聴取しながら立案されたものである。

    我が国における医学医術の水準の向上並びに医療提供体制及び公的医療保険制度の整備を通じた国民の医療を受ける機会の確保は、健康長寿社会の実現に向けた社会全体の取組において大きな役割を果たしてきたが、その一方で、医療政策によって国民の基本的人権が侵害される事例があったことも忘れてはならない。

    医療については、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応しつつ、患者にとって質の高い医療があまねく提供されるよう充実を図っていくことが求められており、また、医療が複雑化し、及び高度化する中、その役割を十分に果たし、病気になっても病気と向き合って生きていくことのできる社会を、国民が力を合わせて実現していく上で、医療に関する施策の方向性を改めて国民に示すことが必要とされている。

    ここに、医療に関する施策について、憲法13条の保障する幸福追求権と25条の保障する生存権を具現化するものとして、高い公益性・公共性を踏まえた医療の基本理念を明らかにするとともに、これを総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

     

    1 総則

    1 目的

      この法律は、医療に関する施策について、基本的人権の尊重を中心とする理念を定め、並びに国、地方公共団体、医療提供施設、医療従事者、医療関係団体、医療事業者、医療保険者及び国民の各責務を明らかにするとともに、医療に関する施策の基本となる事項を定めることにより、医療に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の健康の保持・向上に寄与することを目的とすること。

       2 基本理念

      医療に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行われなければならないこと。

    ①すべて人は、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件によって差別されることなく到達しうる最高水準の健康を享受する権利を有するものであり、医療制度はその保障を目的とするものであること。そこでいう健康とは、単に病気でないことを意味するものではなく、肉体的、精神的及び社会的に良好な状態を意味するものであること。

    ②すべて人は、病気や障がいを理由に差別されないこと

    ③医療を受ける者の権利には、良質かつ適切な医療を受けること及び医療を受ける者が自らの医療情報を知ることができること、また、医療情報が適切に扱われること、必要性や危険性、費用並びに選択しうる他の方法の提示等の必要な情報を得ながら医療内容を決定することができることを踏まえて尊重するとともに、権利が侵害された場合には迅速かつ適切に回復が図られるようにすること。

    ④生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨として、治療はもとより疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切な医療が、医療従事者と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身と生活の状況に応じて行われるようにすること。

    ⑤医療に関する施策は、国民が参加し、医療関係団体との相互信頼に基づき合意形成が行われ、医療を継続的、総合的に評価改善していく推進体制のもとに実施されるようにすること。

    ⑥医療従事者及び医療提供施設の開設者並びに管理者は、国民の医療に関する権利の擁護をする立場として位置付けられること。

    ⑦医療が国民の健康を支える基礎であることを鑑みて、医療を効率的に提供する体制を確保し、医療を受ける者に適切な選択を支援することによって国民の医療を受ける権利が等しく確保されるようにすること。

    ⑧医療は、高度に専門的な役務であるとともに、医療を受ける者ごとに疾病の態様、体質、生活環境等が異なること等により結果に不確実性があることを踏まえつつ、医療従事者及び医療を受ける者が医療の目的の達成に向かって共に取り組むことができるようにすること。

    3 国の責務

     (1) 国は、2の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、医療に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有すること。

     (2) 前項の施策の策定及び実施を通じて、国民の医療に関する権利保障の充実を図ること。

     (3) 国は、地方公共団体と協力して施策を実施する責務を有すること。

       4 地方公共団体の責務

      地方公共団体は、基本理念にのっとり、医療に関する施策について、当該地域の状況に応じた施策を策定し、国と協力して実施する責務を有すること。 

    5 医療提供施設・医療従事者の責務

    1)医療従事者は、国民の医療に関する権利を擁護する立場から、国及び地方公共団体が講ずる医療に関する施策の策定及び実施に協力するとともに、相互に連携協力しつつ、基本理念にのっとった医療の提供をしなければならないこと。

    2)医療提供施設の開設者及び管理者は、国民の医療に関する権利を擁護する立場から、国及び地方公共団体が講ずる医療に関する施策の策定及び実施に協力するとともに、当該医療提供施設において、(1)の医療が提供され、及び医療に関連する他のサービスを提供する者と連携協力しなければならないこと。

    3)医療関係団体は、医療従事者の資質の向上その他の(1)の医療の提供に資する活動に努めなければならないこと。

  • 6 医療事業者の責務

  • 医療事業者(医薬品及び医療機器等を提供する事業者)は、基本理念に基づく医療の実現に協力しなければならないこと。 

    7 医療保険者の責務

    医療保険者は、国民の医療に関する権利を擁護する立場から、医療の適切な実施のために協力しなければならないこと。

      8 国民の責務

    国民は、医療を受ける者の権利について理解を深めるとともに、基本理念に基づく医療に関する施策の推進に協力すること。

        9 意見の反映

    国及び地方公共団体は、医療に関する施策の策定及び実施に当たっては、広く国民の意見を反映させるため、医療を受ける者を含む国民と医療従事者等が医療に関する施策の策定過程からの参画を推進する仕組みを整備、活用しなければならないこと。

       10 法制上の措置等

    政府は、この法律の目的を達成するため、医療に関する法令の見直しを行うとともに、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。

     

    2 医療基本計画及び医療計画推進協議会

    1)政府は、医療に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、医療に関する施策に関する基本的な計画(以下「医療基本計画」という。)を定めなければならないこと。

    2)医療基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとすること。

      ①医療に関する施策についての基本的な方針

      ②医療に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

     ③①及び②に掲げるもののほか、医療に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

    3)厚生労働省に、医療政策推進協議会を設置すること。

    4)医療政策推進協議会は、医療基本計画について意見を述べ、その実施状況を監視すること。

    5)厚生労働大臣は、医療基本計画の策定、変更にあたっては、医療政策推進協議会の意見を聴くものとすること。

    6)医療政策推進協議会の委員は、医療を受ける者及びその家族または遺族を代表する者、医療に従事する者並びに学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命すること。

    7)医療政策推進協議会の委員の地位は国家公務員に準ずるものとし、任期は2年とすること。但し、再任を妨げない。

    8)厚生労働大臣は、医療基本計画の実施状況及びその効果の評価を踏まえ、少なくとも6年ごとに、計画を見直さなければならないこと。

    9)都道府県は、医療基本計画及び当該都道府県における医療の提供の状況を踏まえて、都道府県医療基本計画を定めるべきこと。本項の(3)ないし(8)は、機関に関する文言を都道府県に適合するよう読み替えてこれを都道府県基本計画に関する事項に準用する。

     

    3 基本的施策 

      国及び地方公共団体は、次に掲げる施策を講ずるものとすること。

    ①国民がその居住する地域にかかわらず必要な医療を受けることができるようにするための施策(地域における医療提供施設の整備及び医療提供施設相互間の連携の確保、医療提供施設に関する情報の提供、医療従事者の確保等)

    ②国民がその経済的事情にかかわらず必要な医療を受けることができるようにするための施策(公的医療保険制度の維持・充実等)

    ③医療を受ける者に対する十分な説明が行われ、及び当該者自らの決定に基づいて行われる医療の推進に関する施策

    ④診療記録の適切な開示の推進及び医療に関する秘密の保護に関する施策

    ⑤医療における安全の確保に関する施策(医療提供施設における体制の整備、医薬品、医療機器等に係る安全性の確保、医療事故調査制度の充実及び活用の普及等)

    ⑥健康を維持するために必要な福祉相談援助が、医療と協働して提供されるための施策

    ⑦精神科医療について、その他の医療制度と同様の位置づけにするための関連法令の見直しの検討をはじめとする必要な施策

    ⑧伝統医療について、医療制度における位置づけを明確にする施策

    ⑨医師等医療専門職養成課程における人権教育等良質かつ適切な医療の提供の担い手としての医療従事者の育成及び資質の向上を図るための施策

    ⑩医療従事者の労働環境の整備に関する施策

    ⑪医療に係る研究開発の促進、被験者の保護及びその研究開発の成果の普及に関する施策

    医療の提供に伴い健康被害が生じた場合等国民の医療に関する権利が侵害された場合に、迅速かつ適切に対応する体制を整備するための施策

  • ⑬病気や障がいを理由とする差別を解消するための施策

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    ※「医療基本法要綱案/フォーラム版(略称)全文.pdf」

重要なこと

患者・市民が医療政策の決定過程に参画

患者が実質的に医療政策過程に参画し、意見が充分に反映されるという法案は、長いこと実現されませんでした。実現すればやっと医療の文明開化の訪れを思わせます。

人権が守られる医療

経済的弱者、難病未認定者などなんびともが泣くことのない本当に人権が守られる医療受けられる社会システムを確立すべきです。

みなさまの声もぜひお聞かせください